イケメン無愛想S男子と契約を
「ひぃいいいい!痛いです!」
思い切っ私の頭を両手でグリグリする彼に
降参の声を上げる私。
「反応、面白すぎる。これからは刃向かったらこうなるからね?」
どうしてこの人はこんなに上からなんだろう。
だけど、そんなこともどうでもいいほど彼に夢中になりそうな私がいる。
「じゃあさ、俺がゆりに手助けしてしてあげるよ?」
「へ?」
また、不意な
ゆり
という暖かな呼び方にきゅんと胸がなった。
「日曜日デートしようか?」
「ぇ!?いいの!!」
予想外にトントン拍子に進んだ計画実行への道のり。
「あ、やっぱ、辞めよ。」
私のデコにデコピンを食らわせた彼はニヤリと骨格を持ち上げた。
「な、なんで!」
「生意気すぎる、ほら、ちゃんと敬語で、ありがとうございますデートしてくださって。って言うべきだと思うけど?」
「〜〜〜〜〜!」
んーーなにこの人!
歯をくいしばる。
言いたくないし!振り回されまくりなんだけど、
だけど、従わないと....
私は、孤独になるんだった。
「ぁ、りがとうございます.....ねっ!」
プンっと顔を背けると、
空を見上げた。
口がにやけてしまう。
いじめられて、デコピンされて
いしめられて......
それがこんなに嬉しいとは....
私、ドMなのかもしれない。
「はい。よくできました。」
偉い偉いと言いながら私の頭を撫でる彼に、
やっぱりペースは完璧に彼に持ってかれてるな。
それも悪くない。
好きだから。
「じゃあ、デート、動物園にしませんか?」
「...はは、可愛い考え方。いいよ。12時、空山駅に集合ね。」
「は、はい!」
きゅうっと胸が痛くなった。
可愛いって言葉。
好きな人の私への言葉が、
胸に響く。
デートも決まったし!
日曜、気合いいれてくぞ!
「はい。じゃあ授業戻ろうか?」
「うん!ありがとう!!」
ベンチから跳ねるように降りると、私はくるっと彼の方を向きなおした。
「...どうした?」
「楽しみです!」
この感情、誰かにわかってほしい。
好きな人と過ごす時間
好きな人との次の約束。
また、会える。
こんなに嬉しいって。
次の目標は
「彼を動物園で楽しませる。」