イケメン無愛想S男子と契約を



「好きなこと?」



「そう、です。曽良さんが好きなことはなんですか?」




威圧をかけられ、これ以上は言うのをやめようと告白を断言した私は
本来の目的を彼に話した。



「本読むこと。」





考える間もなくそう答えた彼にむっと口をへの字に曲げる。


そんなの一人で十分楽しめるじゃん。

二人でじゃないと意味ない。
私と一緒にいて楽しいって思ってもらわないと!



「....なに?」



「な、なんでもないです。」



光が差し込む
中庭。


一時間目をサボった私たちは
またベンチに肩を並べて座っていた。



「いや、俺に不満でもあるんでしょ?いってみなよ。」



ぐんと近くなる彼の顔に思わず目を逸らした。


いってみなって...そんなの

なんか負けた気がしていいたくない!



「...な、なんでもないですけど?」



「嘘ついたな。」



「ついてないって......ば」



ふーん

そう鼻で言った彼は
私のほっぺを強くつねった。



い、いたい。



「なにするの。」


「嘘つきには罰をね?」


「だから...ついてない」



何て言いながら、
自分の嘘のつき方がこんなにも下手なのかと
無力さに肩を落とす。




その間にもニコニコと笑う彼の視線はつままれたままのほっぺた。




「痛いでしょ?ね?」



「...痛い。」



「じゃあ、いえよ。じゃないともっと摘むよ?」



ほおを掴む彼の手に力が加わったのを
感じる。



「...もっと、こうさーっ...!?ついた!?!!!」



ほおが、ほおがちぎれるよ曽良さん...。



「馴れ馴れしい言い方で俺に話す気?」



「...ガチで痛いんですけど。」


睨みつけるように彼を見れば、

彼は骨格を少し上げて小さく笑った。




「.....俺ねー○○が好きなんだ!」



○○の所、よく聞こえませんでしたけど。

ほっぺたから手を離した彼の
その手はそのまま私の耳に移動した。

そして、一番聴きたいフレーズのところで耳を塞ぐっていう。


もちろん両耳。




なんたる......




「最低な男。」




「あ!いま最低って言ったよね!?あーぁ。」





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