いと。


お前がやるならその間に書類チェックをしたいといった戸澤さんに代わり、朝食を作った。

コンソメスープとトーストとフルーツを用意して最後にオムレツを仕上げる。

「よし…っと。」

ちょうどダイニングに並べたところで戻ってきた戸澤さんは、それを見て不思議そうな顔をした。

「………どうしました?」

「いや、お前は?」

確かにテーブルの上は彼の分の料理しかない。

だって、薫以外と食事なんて何年もしていないから…弱みを見せるようで嫌だった。

大体、お世話になっているとはいえ、私はこの人と楽しい食事なんてするつもりない。

「…あぁ。私は食欲ないので。」

そう言ってさらりとかわして部屋に戻ろうと思ったのに。

「………来い。」

「えっ!?」

無理やり、キッチンに引っ張り込まれた。


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