いと。
『だからジャマしないで』
そうとでも言いたそうなまっすぐな視線は、運命と言ったその苦しみを必死で乗り越えようとする努力が凛として映っていた。
だけど、オレは………。
「そんな風に、言うなよ。」
もう、心を誤魔化せなかった。
「……オレがいる。」
愛の瞳に、オレを映したい。
細い両腕を組み敷いていた手は自ずとその頬を愛しそうになぞった。
「だから、あなたなんか好きにもならない。愛情のない結婚なんて絶対にしない。」
強い否定の感情。
でもオレはもう、自分の気持ちを知ってしまった。
「愛情ならある。」
「……あの人と同じように私の人生を好き勝手しようとしたあなたのどこに愛情があるっていうの?」
歪む表情に疑いの眼差しはきっと、彼女にしてきたことへのバツだ。
わかってはいるけど、胸がチクリと痛む。
「………最初はそのつもりだった。ただの…目的を果たすためのひとコマだった。だから近づいた。」
押し倒した彼女の華奢な身体を抱き起こし、乱れてしまった髪を指で梳く。
「でも今は………オレはお前が好きだ。
はっきりわかったよ。そんな感情持つべきじゃないって押さえ込んでたけどもうムリだ。
お前が欲しい。
自分でも戸惑ってる。いつからこんなにお前が欲しくなったのか。」
「………うそ。」
本心を伝えても、その瞳は揺るがない。
「嘘じゃない。お前にそばにいてほしい。
ずっと…お前に惹かれたらダメだと思ってた。
オレは今は会社のため、家のために動かなきゃならないしいずれ目的を達成したら夫婦関係も解消するつもりだったから。
でも今は、…お前と一緒に生きたい。
お前を愛して……愛されて、父親や、まとわりつくしがらみから解放してやりたい。
目的が叶ってもずっとそばにいたい。」
それでも………
「そんなの、信じられないよ。」
悲しいほど、伝わらない言葉たち。
だけど愛の顔にはほんの少し、戸惑いの表情が映った。
それなら………
「…じゃあ、信じられるようにしてやるよ。」