いと。

季節は夏をとうに過ぎ、もう10月に入っていた。

曜のところに来てもう4週間ほどになる。

今日は早く帰れそうと言っていた曜のためにおいしい和食を作りたいとスーパーに出た帰り、マンションへと足は向きながら心はこれからのことを考えていた。

いつまでもこんな状況は続けられない。

そろそろ……結論を出さなきゃいけない。

曜は優しい。口調は刺々しく強引なところもあるけれどそのテリトリーに入ってしまえば逞しく守り包んでくれる強さがある。

彼の手を取り未来を進めば、幸せになれるだろうか。

私も、彼を幸せにしてあげられるだろうか。


それに……。

ふと思い出す薫の笑顔が胸を打ち、一気に切なさに溺れそうになる。


『あんなに愛していたのに、綺麗さっぱり忘れて曜を愛していくなんてできるの?』

心の中の私が強い疑問を落としてくる。



その時だった。


ーキィー

一台の車が真横に着き、静かにウィンドウが開いた。

「…乗りなさい。話をしに来た。」

「…………。」

それは、曜の父親だった。


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