常務サマ。この恋、業務違反です
私の心の葛藤を読み尽くしていたかのように、新庄さんはジーッと遠慮なく私を眺めた後、ニイッと微笑んだ。
そして、いそいそとコートを腕に掛けて荷物を纏めて立ち上がる。
「そうと決まったら、出るよ、山田さん」
「え?」
腕を引かれた山田さんが、目を丸くして新庄さんを見上げる。
その行動に、私も焦った。
「そんな、ちょっと待って……」
「あのねえ、話聞いてた? 今からでも遅くないから、ちゃんと高遠さんをリラックスさせてあげなさい!」
聞いてた。聞いてたからこそ、こんな話題の後で二人きりにされたくない!
立ち上がって二人を止めようとした時、あれ、と短い声が聞こえて来た。
「もう帰るの?」
首を傾げながら席に戻って来たその姿に、二人の行動がピタッと止まった。
そんな二人に訝しい視線を投げながら、高遠さんは私を呼んだ。
「悪いけど、急遽仕事に戻ることになった。ここの会計は俺がもつから、ゆっくりしていけ」
「えっ」
「じゃ。……二人も、今日はありがとう」
まさに帰ろうとしていた二人に丁寧にそう言って、高遠さんはさっさと自分の荷物を抱えると、そのまま大股でお店の出口に消えて行った。
それを完全に見送って、勢いを削がれたように、新庄さんも山田さんも再び席につく。
「これから仕事……?って」
目を瞬かせながら、山田さんが左手首の腕時計を見つめた。
私にとっては、驚くことじゃない。
それでも今夜の予定は全部キャンセルしたはずなのに、どうして、と、私はもう見えない背中を脳裏に描いた。
「……奢らせちゃうのは、ものすごく気が引ける……けど」
新庄さんも小さな声で逡巡してから、チラッと私を見遣った。
「もうちょっと話したいとこだったし、ここからは女子会にするか」
明るく宣言するその言葉に、私もホッとして頷いた。
それでも、明日会ったら高遠さんになんて言って謝ろうか、とそればかり考えていた。
そして、いそいそとコートを腕に掛けて荷物を纏めて立ち上がる。
「そうと決まったら、出るよ、山田さん」
「え?」
腕を引かれた山田さんが、目を丸くして新庄さんを見上げる。
その行動に、私も焦った。
「そんな、ちょっと待って……」
「あのねえ、話聞いてた? 今からでも遅くないから、ちゃんと高遠さんをリラックスさせてあげなさい!」
聞いてた。聞いてたからこそ、こんな話題の後で二人きりにされたくない!
立ち上がって二人を止めようとした時、あれ、と短い声が聞こえて来た。
「もう帰るの?」
首を傾げながら席に戻って来たその姿に、二人の行動がピタッと止まった。
そんな二人に訝しい視線を投げながら、高遠さんは私を呼んだ。
「悪いけど、急遽仕事に戻ることになった。ここの会計は俺がもつから、ゆっくりしていけ」
「えっ」
「じゃ。……二人も、今日はありがとう」
まさに帰ろうとしていた二人に丁寧にそう言って、高遠さんはさっさと自分の荷物を抱えると、そのまま大股でお店の出口に消えて行った。
それを完全に見送って、勢いを削がれたように、新庄さんも山田さんも再び席につく。
「これから仕事……?って」
目を瞬かせながら、山田さんが左手首の腕時計を見つめた。
私にとっては、驚くことじゃない。
それでも今夜の予定は全部キャンセルしたはずなのに、どうして、と、私はもう見えない背中を脳裏に描いた。
「……奢らせちゃうのは、ものすごく気が引ける……けど」
新庄さんも小さな声で逡巡してから、チラッと私を見遣った。
「もうちょっと話したいとこだったし、ここからは女子会にするか」
明るく宣言するその言葉に、私もホッとして頷いた。
それでも、明日会ったら高遠さんになんて言って謝ろうか、とそればかり考えていた。