常務サマ。この恋、業務違反です
A4用紙一枚でわかる情報だけでも、私はなんとも言えない深い息を吐くだけだった。
そりゃ、競争の激しい外資金融でものし上がれるわ……って、非の打ちどころもない立派すぎる経歴。
生まれながらの血筋と彼自身の努力による能力。
全てが結集して、三十二歳の若さでこの地位を確立したんだろう。
こんな恵まれた人間がこの世に存在するんだ、と、完全に他人事でページを捲った私は、今度こそ本気で言葉を失った。
A4用紙一枚にプリントされた写真。
その高級エグゼクティブが凛とした眼差しを私に向けていた。
きっちりネクタイを締めたスーツ姿。
少し茶色い髪は、前髪がギリギリの長さで目元に掛かっている。
すっと一筆で描いたような眉に、キリッと力の籠った強い瞳。
あり得ない!!
そんな言葉一言で目にしたものを打ち消すように、私は身上書を裏返して膝の上に置いた。
こんな……何もかも完璧な人間が、この世に存在するなんて信じられない。
そんな神の権化のような人間が上司になる? 秘書として、業務時間ほとんど全てを一緒に過ごすことになる?
想像するだけで、仕事以上の緊張を強いられそうだと思った。
とは言え、仕事を続けられない理由にするにはちょっと弱い。
これまで派遣したスタッフは、秘書として一流の経歴を持つ人ばかりだった。
私以上にこの仕事に対するスタンスは立派なものだったはず。
だったらやっぱり、この人に問題があるとしか思えない。
書類上完璧な人間だからこそ、文字に現れない欠点があると考えた方が自然だと思う。
と言うか……むしろ欠点がなければ同じ人間としてその存在すら信じがたいと思えた。
きっと実物には絶対どこか落とし穴があるはずだ。
どうしようもなく意地の悪い先入観を自ら植え付けて、私は身上書をテーブルに置いた。
そりゃ、競争の激しい外資金融でものし上がれるわ……って、非の打ちどころもない立派すぎる経歴。
生まれながらの血筋と彼自身の努力による能力。
全てが結集して、三十二歳の若さでこの地位を確立したんだろう。
こんな恵まれた人間がこの世に存在するんだ、と、完全に他人事でページを捲った私は、今度こそ本気で言葉を失った。
A4用紙一枚にプリントされた写真。
その高級エグゼクティブが凛とした眼差しを私に向けていた。
きっちりネクタイを締めたスーツ姿。
少し茶色い髪は、前髪がギリギリの長さで目元に掛かっている。
すっと一筆で描いたような眉に、キリッと力の籠った強い瞳。
あり得ない!!
そんな言葉一言で目にしたものを打ち消すように、私は身上書を裏返して膝の上に置いた。
こんな……何もかも完璧な人間が、この世に存在するなんて信じられない。
そんな神の権化のような人間が上司になる? 秘書として、業務時間ほとんど全てを一緒に過ごすことになる?
想像するだけで、仕事以上の緊張を強いられそうだと思った。
とは言え、仕事を続けられない理由にするにはちょっと弱い。
これまで派遣したスタッフは、秘書として一流の経歴を持つ人ばかりだった。
私以上にこの仕事に対するスタンスは立派なものだったはず。
だったらやっぱり、この人に問題があるとしか思えない。
書類上完璧な人間だからこそ、文字に現れない欠点があると考えた方が自然だと思う。
と言うか……むしろ欠点がなければ同じ人間としてその存在すら信じがたいと思えた。
きっと実物には絶対どこか落とし穴があるはずだ。
どうしようもなく意地の悪い先入観を自ら植え付けて、私は身上書をテーブルに置いた。