常務サマ。この恋、業務違反です
彼氏じゃない男の人の寝顔をこんなじっくり見るのは初めてだった。
しかもその相手が超エリートでハイスペックな極上の男……となったら、つい近寄ってしまいたくなるのも乙女心ってもの。


窓のブラインドの隙間から射す朝の光で、少し乱れた長めの髪がキラキラ金色に見える。
男のくせに、睫毛長~……。しかもお肌綺麗……。
一体どんな遺伝子が掛け合ったらこんな美しい人間が生まれて来るんだろう。


そんな素朴な疑問を抱きながら、更に一歩近寄った時。
ドアをノックする妙に無機質な音が耳に届いて、私はビクッと立ち竦んだ。


「失礼いたします。お早うございます、部長……」

「お、お早うございますっ……!!」


聞こえた声に、声が引っくり返りそうになりながら私は挨拶を返した。
意味不明な後ろ暗さを隠すように背筋を伸ばした私に、一瞬胡散臭そうな瞳を向けたのは、やっぱり人事部長だった。


妙にぎくしゃくした笑みを浮かべる私を見て、人事部長は眉を寄せた。
そんな視線から逃げるように、私はクルッと背を向けて、まだ散らかったままのデスクに向かって行く。


「お早うございます、葛城さん。部長は……ああ、またここで眠ってしまったんですね」


一歩足を踏み出しながら私に聞いて来た人事部長は、直ぐにソファに寝そべる高遠さんに気付いてわずかに声のボリュームを落とした。


「あっ、お、起こさないといけませんね」


元々遅刻ギリギリで執務室に飛び込んだんだから、時計など確認しなくても始業時間を過ぎていることはわかる。
私は書類の山を軽くどかして荷物を置いてから、すやすやと眠る眠り姫のような高遠さんに目を向けた。
それを人事部長が軽く手で制する。
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