今宵秘密が暴かれる。
「あら…。
わっちのことをご存じでありんすか?
………もしや、

月夜-カグヤ-殿から聞いていんしたかえ?」




……月夜。






それは紛れもない。
















「なんで曾祖父ちゃんの名前を
知ってんだよ…?」






俺の曾祖父ちゃんの名前…だ…。




俺が聞き返すと、その女性は少し目元に陰りを見せ、目を伏せた。








「……わっちは、










コウ様の御祖父の父、
月夜殿の妾でありんした…」






「…………………………。


は…?」




め、かけ…だと…?





「…そんな嘘に俺が騙されるとでも?ひいじぃちゃんは雛ばぁちゃんのこと溺愛してたんだ。そんな人が妾なんて取るはずがないだろ!」





そう、数年前に亡くなった俺の曾祖父は周りから見てもはっきり分かるくらい曾祖母のことを愛していた。



曾祖母が亡くなった時なんか、見てて痛々しいほどに泣いていて幼ながらに、それだけ愛してたんだな、と思ったことをまだ覚えている。









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