雨上がりの虹のむこうに
こちらのウエディングフェアについても、そ
ろそろ詳細を決めなくてはいけない時期というのもあって、小さな写真に見入っていた。
すると、かさりと紙のすれる音がして囲い込まれるようにして視界が暗くなった。
「何、見てるの」
振り向くように見上げると、やわらかく笑うオーナーの顔がそばにあった。
「このブライダルショーが素敵そうなのよ」
距離が近くて、雑誌にオーナーの影が落ちる。暗くて見づらいかもしれないその雑誌を、オーナーのほうに押す。
「へえ。内海さやの新作ドレスを扱うのなら、話題になるね」
「内海さんのドレスはみんな素敵だから、ここでも扱いたいのに……」
残念なことに、ブランドイメージ保護のため取引する会社が限られてくるのだ。
ここは大きなグループ会社に所属している訳ではないので、取引すらしてもらえない。
どうにかコネやつてを頼って取引してもらえないのか……そんなことをずっと考えていた。
「ねえ、優ちゃんドキッとしない? 」
テーブルに置いた私の手に重なった、オーナーの指が絡んでくる。
温かい大きな手。