恋に一番近くて遠い君


「で、そこの女の子って彼女?」



1人の先輩がにやにやしながら陸玖に聞く。



か、彼女!?
勘違いされてる。男女2人だけで歩いてるとそう見えるのかな…



陸玖はなんて答えるんだろう…









「違いますよ、こいつはただの幼馴染みですから」




ただの幼馴染み…



やっぱりそうとしか思ってなかったんだ。



「なんだ、そうなのか。じゃ部活頑張れよ」



「はい」



私たちの横を先輩達が通り過ぎていく。



でも私には先輩達の足音も片付けをしている人たちの話し声やグラウンドに出て後夜祭を待っている人たちの声も全部頭に入ってこない。



分かっていたけどやっぱり本人の口から直接聞いたらつらくて



心がきゅーって痛くなって



目頭に涙が溜まってきて




「美海、行くぞ」



陸玖が歩き始めるけどとてもじゃないけど今一緒にいるのは無理だ



もう涙が零れてくる。


< 224 / 252 >

この作品をシェア

pagetop