もう一度あなたに恋をした。
「喋んなくていいからっ。ちょっと待っててね?」
佐伯くんのそばを離れて台所へ向かい、冷凍庫から氷枕を取り出す。
鞄からハンドタオルを引っ張り出して、氷枕に巻きつける。
「佐伯くん、頭浮かせれる?」
辛そうにほんの少しだけ浮かせてくれた頭を軽く持ち上げて、隙間に氷枕を挟む。
ゆっくり佐伯くんの頭を下ろすと、「ありがとうございます…」と小さく聞こえたのに対し、微笑み返す。
買ってきたレジ袋の中を探って冷えピタを取り出し、佐伯くんに近付いて前髪をかき上げる。
うわ…まつげ長っ…!女のあたしより長いんじゃないの?
綺麗な寝顔に思わず見惚れてしまって、佐伯くんの咳のおかげで我に返った。