もう一度あなたに恋をした。




冷えピタを貼ると今度は、枕元にあった体温計に手を伸ばし、佐伯くんに脇に挟んでもらうように頼んだ。



小さく頷いて体温計を受け取った佐伯くんを見て、「台所借りるね。」と言って立ち上がる。




いかにも男性の一人暮らしですって感じの台所に立つと、買ってきた食材で手際よく雑炊を作り上げた。


和風だしが効いた、シンプルな卵入り雑炊。


土鍋の蓋を開けると、温かな湯気とともに、食欲をそそる良い香りが台所に広がる。



味見をして、よし!と意気込んで、佐伯くんのいる部屋に戻ると


佐伯くんが上体を起こして差し出してくる手には、体温計。




「39.1か…高すぎるなぁ…」



予想以上の高熱に、肩を落とす。

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