会社で恋しちゃダメですか?


二人の姿が会議室へ消えると、紀子が上気した顔で園子へ駆け寄って来た。


「なに、あれ? 喧嘩中?」
「さあ」
園子は本当にわからない。なんだか怖い雰囲気だ。


「でも、あおいって、ほんときれいねえ。見た? あのまっすぐな足!」
紀子はこの出来事に興奮して、今にも誰かにラインしてしまいそうだ。


「ねえ、あんまり言わない方が」
「えー、お固いんだから。こんな面白そうな話ないのにさ」
紀子はつまらなそうに口を突き出す。それでも会議室の方をちらちらと見続けた。


「コーヒー入れなくちゃ」
園子はおしゃべりを続けたそうな紀子から離れて、給湯室へと急いだ。


どうしたんだろう。
いつも自信ありげなあおいさんが、焦ってるみたいに見える。
それに部長……あんなに怒らなくてもいいのに。
彼女がかわいそうになっちゃう。


園子はお盆に二つのカップを乗せて、会議室の扉をノックした。


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