腹黒教師の甘い策略
「谷崎……、だって、どうして……」
突然すぎる告白と、“7年前から”の言葉が理解できなくて、呆然と谷崎を見つめる。
おかしい。7年前からってなに?谷崎はなんのこと言ってるの?だって、谷崎が赴任してきたのは去年で、顔を見たのも、話したのも、そこからで。
ぐるぐると頭のなかを駆け巡る疑問と戸惑いに混乱していると、沈黙が続いた室内にインターホンが鳴り響いた。その音で目が覚めたのか、た谷崎は無言のまま立ち上がり、玄関へ向かった。
頭が真っ白になり、ただぼーっと突っ立っているだけの私の耳に玄関の扉が開く音と、それと同時に可愛らしい鈴のような声が聞こえてきた。
「出てきて大丈夫なの?熱はどのくらいあるの?」
「……そんなに高くない。微熱だ。」
女の人の声。
ここからだと玄関の方がよく見えない。
その声を聞いた瞬間、真っ白だった頭が真っ黒に変わっていく。
……まあ、もともと浮気だし、谷崎にだって彼女ぐらいいるに決まってる。
中身はあれだけど、顔もスタイルも上の上。むしろ極上。中身はあれだけど。
何度も何度もポジティブに考えてみようとするけど、それでも気分は良くならなかった。