カムフラージュの恋人
そういうわけで、お互い高卒で就職してすぐに、雅彦はひとり暮らしを始めて、私は20歳からひとり暮らしを始めてからは、ますます会うことがなかった。
しかもあいつは、21から23歳までの2年間、お菓子作りの「修行」をしに、フランスへ行ってたし。
・・・これは、雅彦本人から聞いたんじゃなくて、あいつがすでにフランスへ行った後、おばちゃんから聞いたことだ。

だけど、2年前の24歳のとき、私の勤め先のデパ地下に、雅彦が勤めているカフェ「ボナぺ」のスイーツが販売されるようになってから、ある日、納品しに来ていたあいつと、デパートで偶然再会して。
以来、幼なじみの縁が復活したというか。
自然と番号を交換し合って、時々雅彦から電話がかかってくるようになって・・・。

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