ジュリエットじゃ終わんない
「ね、ね、柊也くん!
今の男子、名前なに!?」


「…は?」


「や、その、あんま面識なくてさ!」



「…豊田」

ため息のあとに、そう零す。



豊田か!
よし、あいつを味方に付けよう!



「あ、そだ!
コレ(時間割)ありがと〜!」


受け取るキミに…


「…ね、一緒帰ろ?」



「…無理」



いーじゃん!!
一緒帰るぐらい!


昔はあんな仲良く遊んでたのに。



ま、昔と今は違うだろーけど…


そう見つめた先に…
キミの寂しそうな瞳。




もしかして柊也くんも…


あたしと同じ、透明な日々を過ごして来たのかな…



あのお母さんに限って、そーは見えないけど。




「柊也くん…

あたし達が会わなくなった理由、知ってる?」



キミは視線を落として、軽く頷く。



「…そっか。

だけど親は親じゃん?

あたしは昔みたいに仲良くしたいし…
もっと柊也くんの事、知りたいよ」



何かを考えてるよーなキミが、落としてた視線を移動して…

あたしを、じっと見つめた。
< 28 / 297 >

この作品をシェア

pagetop