最後のコトバ



「俺がいるから」



ほら、こうやって赤の他人なんかに優しくするんだ。

優しくそっと抱き締めては、温もりを教えてくるんだ。



「俺が梨華の傍にいる。ずっと一緒にいるから。大丈夫だよ」



それはきっと、ずっと求めていた言葉。

誰かに傍にいて欲しかったんだ。

あたしを必要として欲しかったんだ。

でも、1番身近にいた母親はそれを放棄した。

そのため、あたしは誰にも求められなかった。

今になって、人の温もりを知り、傍にいてくれる人が出来るなんて思いもしなかった。



「うん、ずっと傍にいる。
梨華を独りにはしないよ」



抱き締めたまま、呪文のように繰り返す。

何よりも安心出来る彼の腕の中、あたしは小さい時以来の涙を流した。




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