最後のコトバ
そもそも、退院する時に1人でいること事態、おかしいことだ。
でも、だからと言って正直に話すものか。
彼も、色々あってと言葉を濁している。
彼が詳しく話さない以上は、あたしだって黙ったままでいいはずだ。
「梨華……?」
それでもなお、聞いてくるのが彼なんだ。
黙ることは許さないとでも言いたそうな、真っ直ぐな瞳。
あたしには、苦手すぎる瞳だ。
「パ……お父さんは、小さい時に病死。
お母さんは……男と出て行ってそれっきり。
だから、親はいない。頼れる親戚なんかもいない」
言葉にすればするほど、あたしは独りだと思い知らされる。
だけど、それでも平気だった。
人に触れる温もりなんて知らずにいたから。
それが、今では……。