ずっと隣で・・・
「英斗・・・」
何で、こんな時に一番会いたくない人に会っちゃうの。
私は思わず弦の手を強く握った。
「千鶴?」
私の強張った顔に弦も何か感じ取った様だった。
弦にだけ聞こえるような声で元彼と呟いた。

英斗は、私が見知らぬ男と一緒にいることに驚きを隠せない様子だった。

そりゃそうよね。
浮気したから許せないと言って別れを突き付けたのに
突き付けた本人がもう別の男と手を繋いで歩いてるなんて。
しかも今日会社で、別れたつもりはないと言った英斗に対して
私は冷たい言葉で改めて別れを告げた。

私と弦の事を何も知らない英斗がこんなところで私たちを見たら
きっと新しい男を見つけたにちがいないと思うだろう。
正直もう何を言われてもよりを戻すことは考えてないから
誤解をされようが関係ないと思ったが、
弦に迷惑かけてしまう。
それだけは避けたいと思った。
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