キミじゃなきゃダメなんだ
そっかそっか。
足を洗うだけにしては、時間がかかりすぎてるもんな。
ふたりとも、心配してるかも。
今、何時だろう。休憩時間、そろそろ終わっちゃうよね。
「そうだったんですか。すみません、この状態だったんでちょっと困ってて、戻ろうにも戻れませんでした」
「........」
先輩はしばらく苦い顔をしていたけど、おもむろに長袖の上着を脱ぎ始めた。
....えっ?
「はい」
そのまま、それを差し出される。
意味がわからなくてちょっと戸惑ったけど、これを着ろという意味だと理解して、「いえ!」と勢いよく首を振った。
「いいですよ、確かに寒いですけど、全然へっちゃらです!先輩、寒いから長袖着てるんでしょう!?このまま着ると、濡らしちゃいますし....」
「....それもあるけど。寒そうっていうか....」
すると、先輩は気まずそうに目をそらした。