キミじゃなきゃダメなんだ


絆創膏を手にとって貼ろうとすると、私の前に立っていた人の足が動いた。


「貸して」


えっ。

思わず固まった私の手から、いつかの日と同じように絆創膏を奪う。


彼はそれから当たり前のように、無言で膝をついた。


「....先輩」

「黙って」

「...........」


...ほんとに、あのときと同じなんですけど。

なんでこのひと、こんなに当たり前のように私の膝に絆創膏張るの。わかってやってんの?それとも無意識なの?


「....先輩」

「何」

「怒ってます?」

「それなりに」

「この状況、前にもやったの覚えてます?」

「...覚えてるよ」


ぺた、とそのときちょうど、先輩が絆創膏を貼り終えた。



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