キミじゃなきゃダメなんだ


「どうだったの!?」

「ちゃんと言えたんでしょうね」


土下座しようかと思った。

謝ろうと思ったらすぐ土下座に思考が向くのをそろそろ直すべきだと思う、私は。


「言えませんでした......」


さすがに教室で土下座はできなかったので、頭を深く下げる。

怒られるかと思ったけど、降ってきたのは「なんかあったの?」というチョコちゃんの優しい声だった。


驚いて顔を上げると、チョコちゃんは眉を寄せ、里菜は心配そうな顔をしていた。


「....怒んないの?」

「怒ろうかと思ったけど、無理でしょ。だって今のあんたの顔ひどいわよ。殺人事件の現場を見てしまった目撃者Aの顔をしてるわ」


とても嫌な具体例だと思った。

けど、それだけ暗い表情をしてるということだろう。



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