キミじゃなきゃダメなんだ
さて。じゃあ告白できるんじゃないかと思った、が。
「うわぁ。あの女、まーた汐見先輩といるよー」
告白を延ばして三日目の昼休み。
いつもの三人で、自販機に飲み物を買いに行った帰り、廊下の窓から別の校舎にいる汐見先輩を見かけた。
彼は、二日前の月曜日教室で話してた、あの美人と一緒で。
私と一緒に気づいた里菜が、あからさまに顔をしかめる。
チョコちゃんが、無言で里菜の頭をパシーンと叩いた。
「..........」
ほんと、最近よく一緒にいる。
私の気持ちのなんらかを察している松原先輩の情報によると、あのふたりがくっついてるのではという噂が二年で広がっているらしい。
噂好きな先輩たちだ。
でもあんな美人なら、私の時みたいに、とやかく文句を言ったりしないだろう。
てゆーか、なんであんなに一緒にいるんだ?
汐見先輩は相変わらず無表情というか、他の人と話すのと変わらない様子だけど。
美人さんの方は、にこにこしている。
でもそこから、なんかこう恋する女子特有の、媚びた笑顔とか、猫なで声とか、そういうのは感じられなかった。