キミじゃなきゃダメなんだ
「しっ、汐見先輩に聞こえたらどうすんの!」
「大丈夫よ小声だし。イヤホンしてるじゃない」
「でも周りのひとには聞こえるじゃん!」
さっきからすげー私見られてるんだよ!
うちの学校の制服着た女子が、なんかこそこそ話してるし!
「聞かせてんのよ。わかってるの?マル。今まであんたは学校の女子たちに、『汐見先輩とは友達です』って言ってきたのよ?」
「そ、そうだった...!」
「これからはちゃんと、尋ねられたら正直に『彼女です』って言いなさいね。『友達です』とか言って誤魔化してたら、汐見先輩ショックで倒れるわよ」
しょ、ショックで倒れはしないと思うけど....お、怒るよね。たぶん。
そうだよな。
私は汐見先輩の彼女。
堂々としなければ!
バスを降りてから、校舎へと歩く。
前の方に、松原先輩と歩く汐見先輩が見えた。
「...あ、挨拶にいこうかな」
「おおっ。マル、やる気だね!」
「...里菜、一緒に来ない?」
「あはは。前と逆だねぇ。リナはいいよー。チョコちゃんは?」
前と逆....そっか。
汐見先輩と友達になったばかりの頃の朝に、松原先輩に話しかけに行くっていう里菜と一緒に行ったんだよね。