キミじゃなきゃダメなんだ


「いいなぁ、マル。リナも早く彼氏ほしーい」


ずっと黙っていた里菜が、ちょっと苛ついたような顔をしてそう言った。えっどうした。


「ご、ごめん」

「ん?なんで謝るの?」

「なんか怒ってるじゃん」

「ああこれはぁー、松原先輩にムカついてるだけー」


ええっ、そんな静かにムカついてたのかよ。しかも笑いながら!こわ!



「リナも早く松原先輩諦めて、次にいこーっと」



声色は明るいのに、漂う雰囲気がこわい。ちょっと心配だ。大丈夫かこいつ。


「....あの子にも、色々あんのよ。たぶん」


隣でチョコちゃんが、ぼそりとつぶやく。

そ、そうか。色々あるのか。たぶん。







二限目が終わった休み時間、汐見先輩からメールが届いた。



『お昼一緒にどうですか』



ハイ!かーわーいーいー!

胸にギュンギュンくる。たぶん今キューピッドが百本くらい私の胸に矢を飛ばした。痛い。だけど幸せな痛み!



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