キミじゃなきゃダメなんだ
「いいなぁ、マル。リナも早く彼氏ほしーい」
ずっと黙っていた里菜が、ちょっと苛ついたような顔をしてそう言った。えっどうした。
「ご、ごめん」
「ん?なんで謝るの?」
「なんか怒ってるじゃん」
「ああこれはぁー、松原先輩にムカついてるだけー」
ええっ、そんな静かにムカついてたのかよ。しかも笑いながら!こわ!
「リナも早く松原先輩諦めて、次にいこーっと」
声色は明るいのに、漂う雰囲気がこわい。ちょっと心配だ。大丈夫かこいつ。
「....あの子にも、色々あんのよ。たぶん」
隣でチョコちゃんが、ぼそりとつぶやく。
そ、そうか。色々あるのか。たぶん。
*
二限目が終わった休み時間、汐見先輩からメールが届いた。
『お昼一緒にどうですか』
ハイ!かーわーいーいー!
胸にギュンギュンくる。たぶん今キューピッドが百本くらい私の胸に矢を飛ばした。痛い。だけど幸せな痛み!