キミじゃなきゃダメなんだ


「...じゃあ、榎本先輩に心惹かれたわけじゃないんですね?」


一応確認すると、先輩は「当たり前」とちょっと怒ったように言った。疑われたのが不本意だったらしい。

えー、じゃあ榎本先輩のことは、私の勘違いだったわけだ。でもなぁ。


「....榎本先輩、美人ですよ?」

「美人だからなんなの」

「心ときめかないんですか」

「特に何とも思わない」


ご、ご自分の顔が美しいからだろうか。見慣れてるとか。

私は男女問わず綺麗なひとを見ると、見惚れちゃうけどな。


「....美人は美人だと思うよ。顔が可愛い子は可愛いと思う。でもそれだけ」


...それだけって。


「どういうことですか。私、それすらないんですけど」

「欲しいと思ったのは君だけってこと。僕にとって必要だと思ったのは君が初めてだったって話。もともと顔とかどうでもいいしね」

「スゴいですね先輩は....普通、顔がいい人って顔がいい人と付き合いたがるのに 」

「そうなの?知らない」


知らないって....。


そうか、このひとは生来無頓着なのかな。何事にも。今は私以外のことに関して。



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