キミじゃなきゃダメなんだ
可哀想なくらい正直で、まっすぐな百合が。
この先どんな顔をして、どんな風に生きていくのか、見ていたい。それを支えたい。
僕も、彼女の明るくて優しい世界に触れて、もっとこの世界を好きになれたらいい。
*
『汐見先輩』
肉まんを食べ終わってから、寒い中駅のホームで電車を待つ。
さっきから、隣の彼女は上の空だ。
何か考え事をしているらしいから、僕もあまり話しかけないでいたんだけど。
『...なに?』
『先輩って、私のこと好きですよね』
『...そうだね』
それを、ちゃんとわかってくれてるのは嬉しい。
前みたいに、変に不安になられても困るし。
でも、ここまで直接確認されると、少し恥ずかしい。
百合はマフラーに顔を埋めて、白い息を吐いた。