I先輩
もし、先輩が本当にわたしを迷惑がってたらどうしよう
わたしは手に持った地図を握りしめた。
このまま、本当に行ってもいいのかな…?
いや、たとえ嫌われてても、そうじゃなくても、行って真実を確かめなきゃ。
本人に聞かなきゃ、本当のことなんて誰にもわからない。
いったん教室に戻って、自分の鞄を肩にかける。
もうとっくに授業中で、さすがに先生に止められた。
「なんだ治田、もうとっくに授業始まって「先生!早退しますっ!!」
わたしは急いで教室を出た。
遠くで先生が叫んでた。
ごめんね、先生。
心の中で何度も謝る。
わたしは地図を鞄に突っ込んで、玄関へと向かった。
「琴璃っ…!」
わたしが玄関で靴を履き替えていると、梨乃ちゃんが走ってやって来た。
「あんたが理事長室に行ったって、七瀬先輩に聞いて…」
梨乃ちゃん、もしかして…
「心配して来てくれたの?」