天然王子
「あー…疲れた」
綺麗にラッピングされたネックレスの袋を見て田熊が大きなため息をついた。
「無事買えて良かったね、私のおかげで!」
「……………」
私が語尾を強調させて言うと、田熊は目を細めて私を見た。
「あぁ…お礼な」
「いやーそんなお気になさらずにー」
田熊は自分のポケットに手を突っ込んで何かを取り出すと私の手にのせた。
「なに…って100円!?しかも現金かよ!!!」
生々しいお礼をとても受け取る気にはなれず…ちゃんと返しました。
「ま、今度ジュースくらいおごってよね」
「……お前…ちょっと騒ぐなよ」
「はい?」
急にわけのわからないことを言い出す田熊を見上げようとすると、急に視界が暗くなった。
「なっ…は!?ちょっ…なになになになに!?」
「おまっ、だからうるせーって!」
今度は鼻と口をおさえられて、パニック状態になった。