天然王子
 

「嘘だよ、だって…
本当に信じてたら、今こんな風に離れてたりしない
本当に信じてたなら、どうして、ちゃんとシュンくんの話を聞いてあげなかったの?」


だって、そうでしょう?

おかしいよ、好き合ってたのに別れちゃうなんて。


「あなたに何がわかるの…?」

「あお…っ」

「私は、ちゃんと信じてた!信じてたのに…っ
全部、信じさせてくれなかったゼンのせいだよ!!」


今にも泣きそうな顔で、あおさんが叫んだ。


「ごめん、ごめんな、あお…
お前を傷つけるつもりなんかなかったのに…全部、俺のせいだ」


シュンくんは深く頭を下げた。


「ごめん……!」


恋人と友達と、優先順位なんてあるのかな?

どっちも、大切にしちゃいけないのかな?


「…本当は、わかってた。
ゼンは、優しい人だからって、私が1番わかってたのに…っ」


だから、断れなかったんだね、手を離せなかったんだね、シュンくんは。

最初から誰も傷つける気なんかなかったんだ。


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