天然王子
 

田熊は私の頭をぐしゃぐしゃにした。


「言ったろ、お前が落ちてたららしくねーって」

「田熊…」

「あたしのいちごみるく、しょうがないからあげてもいーよ」

「紗和…!」


紗和が物くれるなんて、滅多にないのにっ…!


「時田ちゃん時田ちゃん、ドンマイっ!」


トンッと私の肩を叩いて佐竹が言う。

なに、そのいい笑顔は


「……え、誰だっけ?」

「えぇっ!?」


あんたのせいで、感動が台無しだよ

でも…


「みんな、ありがと」


ちょっと照れくさいから下を向きながら言った。


「ほんと、元気出しなよ?
ハルは明るいだけが取り柄なんだから」

「えっ、紗和までそれ言うの!?」


私たちが言い合っていると、クラスの子がドアを指差して私を呼んだ。


「ハルちゃん、呼んでるよ?」

「えっ?」


ドアの方を見ると、見覚えのある顔


「…ちょっと、いい?」


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