天然王子
「……………」
ハルたちが居なくなって数分後、教室を覗き込む男が一人
「あ!広瀬じゃんっ!!」
それを佐竹が発見
さらにそれを見ていた紗和が口元をニヤケさせた。
「ハルなら、男とどっか行ったよ?」
「………え」
「彼氏に冷たくされちゃうとー…まぁ、他の男にとられても仕方ないよねー」
「…冷たく、なんか」
「あぁ、こうしてる間にも紗和とシュンくんが…」
紗和の口から発せられた名前に、王子の耳がピクッと揺れた。
「…………っ…」
踵を返して、教室を後にする王子…
「紗和ちゃん、いじわるだね」
「何がー?」
「行き先、知ってるくせに」
フッと紗和は悪戯に笑った。
「ちょっとくらい、なんかないと楽しくないじゃん」
「うーわ性格悪っ」
「ちょっと!俺の天使になんてことゆーんだよ、ゆーやっ!」
「「天使!?」」
その後も、教室は騒がしかった。