白いジャージリターンズ~先生と私と空~

空が生まれてから先生といろんな話をしてきて、空には自由にのびのび育ってほしいと思っている。

ふたりの共通の願いは、何かスポーツしてくれたらいいね、ってそれくらいだった。


体操、サッカー、野球、いろいろちょっと体験してみて、一番楽しそうなものを習わせてみようかって話をしていて、まずはサッカーの体験に行った。


「空君、サッカーやるんだぁ。先生の息子だから運動神経いいんだろうな」

と美亜ちゃんが隆介君の二の腕に腕を絡める。

その腕をふりほどく隆介君のドS顔が面白い。


「ボール好きだから、サッカーはいいかもしれないな」

先生はそう言いながら、空のふくらはぎをもみもみ。

「キャハ」っと喜ぶ空。



生まれた時、元気ならそれでいいと思った。

初めての寝返り、ハイハイ、伝え歩き。

どんどん、贅沢になっている自分がいた。


空は、何でも早くにできるようになって、同じ月齢の子のお母さんからは、うらやましがられることが多い。

『もう歩けるの~』

『もうボール蹴れるんだね』

そうした褒め言葉になれてしまったのかもしれない。



習い事をさせたくなってしまう。

体操だって、サッカーだって、させたい。

そのうち野球も。


誘われて行っただけのリトミックでも、誰よりも嬉しそうに踊っていた空を見て、音楽の才能もあるんじゃない?ってその気になってしまったり。



子供ができて、初めてわかること。

不思議な気持ちだった。


それは、母親だからなのかな。

先生よりも、私の方がそういう想いが強いかもしれない。



誰でも自分の子供の可能性を信じているんだと思うんだけど、期待しすぎてる自分に気付いて、ちょっと反省している今日この頃。


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