白いジャージリターンズ~先生と私と空~

「ママ、飲む~」


私に手を伸ばす空。

最近、結構いろいろ話せる空だけど、言葉の方は遅い方なのかな?

そんなことも気になってしまう。


運動面での遅れなんて、今までなかったから、初めて心配ごとができる。


元気だからいいじゃない、って思うのに、そうじゃない自分もいる。


空は空。

私の物じゃない。

空には空の人生がある。


空はこの夏で3歳になる。

この春からプレ幼稚園に、週に一回通うことになり、来年の春にはもう幼稚園。


ついこの前、生まれたのに。

なんだか、あっという間過ぎて、寂しくなる時がある。


すぐに、大きくなって遠くにいっちゃいそうな。



そんなことを考えていると、私は空に依存しすぎているんじゃないかって思う。

っていうか、最近ついちょっとしたことでくよくよ悩んでしまう私・・・・・・

だめだなぁ。



「どした~?」

頭に大きな手を乗せられて、私はようやく現実に戻る。


「ううん」

サラダを盛りつけながら、つい考え事をしてしまっていた。


「ガーリックは多めだな」

油で揚げたにんにくチップをサラダにかけて、トマトを飾って出来上がり。



部屋は、チーズの匂いとガーリックの匂いで、食欲をそそる。



「では、頂きます!!」


虎太郎の真似をして、手を合わせる空。

先生のひざの上で、嬉しそうにいただきます、ってした後、トマトを口に入れる。


なんとも言えない気持ち。

大好きな先生が、大好きな空を抱いていて、どちらも大好きなんだけど、全然違う種類の愛なんだよね。

先生にとっては、私への愛と空への愛ってどう違うんだろう。


男の人にとっては、守りたい存在って意味では同じなのかな。


「美味しいな!」

「直、美味しい~!カフェみたいじゃん!ありがとう」


みんなでチーズフォンデュパーティー。


いつも、こういう空間で、私はいろんなことを考えて、頭の中を整理できるんだよね。

今の自分を見つめ直したり、先生への想いを確認したり、ね。

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