白いジャージリターンズ~先生と私と空~
疲れた放課後に、いつも思い出す。
ここに・・・・・・
ここに、いてくれたら、と。
“先生~!どうしたの?”って矢沢直の声が聞こえる時がある。
あぁ、今日は相当疲れてるな、俺。
体育教官室へゆっくりと向かいながら、直を想う。
そして、窓から夕焼け空を見上げ、愛しい息子の空を想う。
教官室の机の引き出しを開けると、生まれたばかりの空との家族写真がある。
その下には、直が卒業した日に撮った写真がある。
「失礼します」
ドアをノックする音と共に、茶色い髪の男子生徒が入ってきた。
「おう、どした?」
まだ新入生の名前を覚え切れていないことに気付く。
「えぇ~っと、1年だよな」
「はい。中川嵐です」
外見とのギャップに驚くほどに、丁寧な挨拶をした。
嵐、という名前を聞いて、俺は思い出した。