残念御曹司の恋

何度も角度を変えて唇を啄んでから、彼女の口内に強引に押し入った。
すぐに、彼女の息が上がる。

「や、竣、だめ…」
「何で?俺を思いっきり充電させた方が、会社の為になるよ。」
「そんな…」
「ひいては、日本経済に貢献することになる。諦めて、今すぐ抱かれて。」

無茶苦茶な理論を展開してから、再び彼女の唇をキスで塞いだ。

正論では無理だ。
時には、強引に押し切ることも必要で。
これは、ビジネスの場面でも同様だ。

程なく、彼女の目がとろんとして、腕が俺の背中に回される。

名残惜しく彼女の唇から一度離れると、「ベッドがいい」と彼女から小さな声で可愛いリクエストを受けた。

もちろん、俺に異存はない。
この週末は、ずっと彼女と過ごすと決めている。

限られた自由になる時間の中で、今まで長年押し込めていた欲望を、突然全て解放した結果。

ここでは、俺はウザいくらいに彼女にべったりだ。


…という、自覚はある。
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