残念御曹司の恋
一度、押し切ってしまえば、司紗は先ほどまでの抵抗からは想像出来ないくらいに、素直で従順だ。
「竣、会いたかった。」
目を少し潤ませて俺を見つめる彼女に、ストレートに思いを告げられれば、俺の胸はたちまち鷲掴みにされる。
「素直でよろしい。」
俺は満足げに答える。
少し格好を付けてみたが、実際には全く余裕はない。
彼女の服を剥ぎ取り、荒々しく彼女の体に触れ、思いつくまま唇で吸い付いた。
彼女の上気した顔と切なげに漏れる声が、俺のわずかに残った理性をどこかへと追いやる。
「しゅん…もう、だめ…」
やがて、司紗か目を潤ませて俺の手を制止する。
「お願い…はやく…」
そう言って俺のベルトのに手を掛けた。
彼女に夢中ですっかり脱ぐのを忘れていた服を、彼女の白い手が丁寧に脱がせていく。
今日は、一段と大胆だな。
それを眺めながら、少しだけ冷静になった頭を働かせる。
「やっぱり、早く来たのは正解だっただろ?」
俺は口元をゆるませながら、意地悪く笑って言った。
恥ずかしいのだろう。司紗は不服そうに真っ赤になった顔を逸らした。
それでも、服を脱がせる手は止めない。
その姿がたまらなく愛おしい。
思えば、初めての時もそうだった。
大胆にも自分から誘ったくせに、顔を真っ赤にして恥ずかしがる18歳の司紗が脳裏に浮かぶ。
そんな姿を見られるのは、今も昔も自分だけなのだと思うと、とても満ち足りた気分になった。
今まで、隠してきた独占欲を思う存分満たして優越感に浸りたい。
「これから先、いつでも俺が真っ先に帰るのは司紗のところだよ。」
柄にもなく甘く囁けば、 彼女はますます顔を赤らめた。
「一緒に住むのはまだ先よ。」
「構わない。」
少しだけ申し訳なさそうに告げた彼女に即答する。
「だけど、‘’ただいま‘’には‘’おかえり‘’で返して。」
そうリクエストすると、彼女は赤い顔のまま少し微笑んで口を開く。
「竣、おかえりなさい。」
その一言に、俺はどうしようもなく感動して。
これ以上は、我慢出来そうにないな。
そう判断して、慌ててベッドサイドの避妊具の箱に手を伸ばした。