残念御曹司の恋
「もう、起きちゃったから。朝ご飯作るね。」
「まだ早いよ。」
「平日なら、もう出勤してる時間でしょ。」
「今日は休日だから、まだ可愛い恋人とベッドの中に居たいんだけど。」
「はい?」

俺が恥ずかしながら口にした願望に、驚きびっくりした顔をする彼女。

そんなに驚くことか。

しかし、驚きだけではなくて、遅れて恥ずかしさに見舞われたのだろう。
次第に彼女の顔がほのかに赤くなる。

「…そんなこと、今まで絶対に言わなかったくせに。」
「ああ。必死に我慢してたから。本当は朝になっても離したくなかった。」
「いっつも、先に起きてシャワー浴びてたのに。」
「司紗より先に起きなきゃ寝顔見られないし。」
「うそ、見てたの?」
「ああ、密かに毎回30分は堪能してた。で、司紗が起きそうになると、いつも慌ててシャワールームに駆け込んで。」
「何でまた。普通に寝てた振りでもすればいいのに。」
「だって、不味いだろ。」

俺は観念したかのように、彼女の腰を引き寄せて下半身を密着させる。

「寝顔見てるだけでこんな風になってるの、絶対にバラすわけにいかなかったから。」

下腹部に当たる感触から、俺が意図するところに気が付いたらしい。
彼女の顔が真っ赤になって、あからさまに狼狽えた声が聞こえた。

「やだっ…ちょっと…」
「初めて言うけど、俺、朝の方が元気だから。」
「そんなことカミングアウトされても、こま…」
「やっぱり、引いた?だから、隠してたんだけど。」
「いやいや、引いてはないけど。」

恥ずかしがって体を離したがる彼女をやんわりと拘束して、再び首筋に顔を埋めてキスをする。
彼女の体がぴくりと動いた。

「え、まだ、するの?」
「うん、嫌?」
「えっと、もう朝だよ?」

すっかり優等生の顔に戻った彼女が言う。

「嫌なら、いつもみたいに冷たいシャワーを浴びてくるけど。」
「えっ…」

更なるカミングアウトに、ぽかんと開いた口をキスで塞いで、すぐに舌を絡める。こんな時は、強行策だ。

「…いやじゃ、ないけど。」

しばらくして唇を離すと、彼女は小さな声で答えて、俺の背中に手を回す。

また一つ、新たな充足感を手に入れて、俺は念願の甘い朝をしっかりと堪能した。
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