極甘上司に愛されてます
「……言ってからじゃ盛り上がらないだろ」
「も、盛り上がるって……ただ動揺させられただけですよ! 編集長どうかしちゃったんじゃないかって」
「おー、動揺したか。俺もまだまだいけるな」
「何喜んでるんですか!」
顎を撫でながらなぜか満足げな編集長に背を向け心を落ち着かせる私。
ああびっくりした。よく考えたら、編集長なんかにドキドキしちゃダメだよ!
私には渡部くんという大事な人が……!
「あのう……」
そのとき、チャペルの扉の方から控えめに掛けられた声。
「そろそろ、披露宴会場にご案内しても……?」
気まずそうに言った担当者さんは少し顔を赤らめていて、私の脳裏にいやな予感がよぎる。
「す、すいません……! あの、もしかして、今の、見られてました……?」
「も、申し訳ございません! お二人があまりにお似合いなもので、つい……」
いやぁぁ~! やっぱり見られてた!
今のは仕事上必要なシミュレーション(?)だったって、説明してもわかってもらえないよね……
「お似合い、か。……北見、お前いくつだっけ?」
がっくり肩を落としながら扉の方へ向かう私の横に並んだ編集長が聞く。
「……二十四ですけど」
「ほお。ひと回り違ってもいけるもんなんだな」
「なんなんですか、さっきからその“いける”って……」
恨めし気に編集長を睨んでみても、彼は全然気にしてない様子で微笑みながら、さっさと先を歩いていってしまう。