極甘上司に愛されてます


その後、個性豊かな六種類の披露宴会場を見せてもらい、最後に一番大事な費用についての説明を受けると、私たちの取材は終わった。

色々なウエディングプランがあって、かかる費用もそれぞれに違ったけれど、具体的な数字の羅列は夢見がちな私をちょっと現実に戻してくれた。


「……お金、貯めなきゃなぁ」


トイレに寄るという編集長と別れ、先に駐車場に戻り車に乗り込んだ私は、助手席の椅子に深くもたれてため息をついた。

自分が結婚式を挙げるとしたら、チャペルの収容人数くらいのお客さんは呼びたい。

広い披露宴会場の使用料、人数分の席料、料理、飲み物、引き出物……それにドレスだって、妥協したくないし……

頭の中でカチカチと電卓を叩いていると、運転席のドアが開いて編集長が戻ってきた。


「お帰りなさ――」


言いかけたところで、ガサッと音が鳴って私の膝の上に大きな花束が乗せられた。
私は瞬きを繰り返し、ぽつりとつぶやく。


「……なんですかこれ」


濃淡さまざまなピンク系の花の中にリンドウの紫が秋らしい、キレイな花束。
手に取って鼻先を近づけると、甘くていい香りがした。

そういえば、ロビーと併設してお花屋さんがあった。そこで買ってきたのだろうか。


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