俺様富豪と甘く危険な恋
「どうして困った顔をしているんだ? 俺を好きだと言ったよな?」

「え、縁結びって男女だけじゃないんですよ? 仕事上の人間関係もあるんです。だから触ろうとしたんです」

「いや絶対に男の良縁を求めて触ろうとしただろ」


栞南の苦しい言い訳を見抜いている蓮はムッとしている。


「朝日奈さんって意外と独占欲があるんですね」


(モテる人だから付き合う女性を縛らない人かと思ってた……女性なんか選り取り見取りだもんね)


「もちろんだ。自分の好きな女を他の男に渡すつもりはない」


蓮は栞南が物わかりのいい女に無理になろうとしているのがわかった。栞南の心情はなぜか手に取るようにわかる。栞南が純粋でわかりやすい性格のせいなのだろうか。

蓮は栞南の腰に手をまわし引き寄せるとぎゅっと抱きしめた。


「あ、朝日奈さんっ!?」


蓮の腕の中で栞南はジタバタするものの、放されないとわかるとおとなしくなった。


「――行くぞ」


たっぷり2分は栞南を抱きしめていた蓮は離すと歩き始めた。


(ガラにもない。これほどまでに彼女を独占したいと思うとは……)


そして思ったことを口にしている自分に驚いていた。

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