俺様富豪と甘く危険な恋
「俺がやる」


蓮はリーから距離をとったボディーガードに言う。

蓮はテコンドーの有段者だ。ダニエルから渡された携帯のトンファーバトンを持つと構える。

トンファーバトンを自由自在に操り、ナイフから身を守り、攻撃の武器として動かす。蓮はトンファーバトンを使いながら足蹴りと拳で立ち向かった。

振り下ろされるナイフを蓮は右手に持ったトンファーバトンで交わし、素早くリーの足を蹴る。


「ううっ……!」


足を強く蹴られ、ふらつくリーの顔に蓮は回し蹴りを食らわせた。急所を突いた蓮の回し蹴りに大きな身体が地面に沈む。

そこをボディーガードはリーをうつぶせに取り押さえ特別仕様の結束バンドで両手首を縛った。

暴れるリーを厳しい表情で見ていた蓮の顔がふいにゆがむ。


「っう……」


左腹部のワイシャツが血の染みが広がっていた。


「見せてください」


ワイシャツをめくるとダニエルは首を左右に振った。


「うかつでした」

「預金通帳を凍結させられ頭に血が上ったんだろう。俺ももっと注意を払うべきだった」


蓮は地面に散らばるバラの花束と、つぶれたケーキの箱を恨めしそうに見た。

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