俺様富豪と甘く危険な恋
ドアが閉まると、繋いでいた手がグイッと引かれ、蓮の唇が重なった。


「んっ……」


抱きしめられ、キスされている。どんなにこの瞬間を待ち焦がれていただろう。栞南の瞳が潤んでくる。

蓮が日本へ来てくれたということは……栞南は期待をしてしまう。


「レン、もう……もう……別れないでいいんだよね?」


微かに震える声で栞南は勇気を出して聞いてみた。


「待たせてすまなかった。もう離れているのも限界だ」


蓮の答えは栞南の満足のいく返事だった。不安そうだった栞南の顔に笑みが広がる。


「……私も」


栞南は自分から唇を寄せた。長い長いキスのあと、突然栞南は抱き上げられた。


「レ、レン? 危ないよ」

「寝室は左の方だろう? 誘導してくれ」

「え? う、うん……7歩まっすぐ歩いて……」

蓮は栞南の言われた通り、歩き始め7歩目で立ち止まる。


「それから?」

「左に5歩……行って」

蓮は左に5歩進み、ドアが開いている部屋に入ると栞南が教える前にベッドに近づき下ろされた。

その動作はまるで見えるみたいだった。そして蓮は今、栞南を見つめている。


(動きがスムーズ過ぎていない……?)
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