俺様富豪と甘く危険な恋
「お前は踊らないのか?」

「人前で踊ったことなんてないよ」

「フラぐらいなら踊れるだろう?」


なおも引き下がらない蓮に、こう言えばあきらめるだろうと思って口を開いた。


「……レンが一緒に踊ってくれたら踊ろうかな」


舞台を見ていた栞南は蓮の方に顔を向けて茶目っ気たっぷりに笑った。

ジェシカやソフィアのように踊るのは苦手な栞南だ。それは嫌だと言われるのだろうと期待していると、蓮は口角を上げてニヤッと笑った。


「踊ろうか?」

「えっ……」


栞南の笑みが凍りつく。

蓮がダンスが出来るとはまったく考えていなかった。いや、セレブなのだから社交ダンスはできそうなのだが。

今誘われているのはフラダンス。蓮が手をクネクネさせるところなんて全く想像つかない。

思わず吹き出しそうになる栞南だ。


「お前のダンスが見られるのなら踊るぞ」


蓮はスコッチのグラスを木の丸テーブルに置いて立ち上がると、栞南に手を差し出した。


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