俺様富豪と甘く危険な恋
「レンっ、私人前で踊るなんて――」


(本当にフラダンスを?)


強引に立ち上がらされて、舞台へ上がらされてしまう。

戸惑う栞南を尻目に蓮は誰かに合図した。するとハワイアンソングだがムードある曲に変わった。


「なんだ、フラダンスを踊るのかと思った。でも、私こういうのも踊れないから……」


席に戻ろうとすると、栞南の身体はグイッと引き戻される。


「帰らせると思ったのか? ただ足を動かしていればいいだけだ」


強引に抱き寄せられて仕方なく心を決めた。

蓮の身体にピッタリ身体をくっつけて、揺れるように足を動かす。いわゆるチークダンスというやつだ。

栞南は蓮の胸に頭を置いて、動きに身を任せる。目を閉じてこうしていると、波に揺られているような不思議な感覚だ。


(酔っちゃっているのかも……)


お酒と雰囲気と……自分を抱き寄せている腕の持ち主に。

その時、大きな音と共に松明のひとつが倒れた。

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