俺様富豪と甘く危険な恋
「ジェシカさんは大丈夫ですか?」


ベッド横のサイドテーブルにトレーを置く。


「ええ。飲みすぎちゃったのね。今まで水って言っていたけど、また寝ちゃったわ」

「ゆっくり寝るのが一番ですね。今日はありがとうございました。とても楽しめました」

「ハネムーンを邪魔しちゃってごめんなさいね」

「いいえ。とんでもないです。じゃあ、おやすみなさい」


栞南は頭を小さく下げると、寝室を出た。それからキッチンにもう一度向かう。洗い物や片づけを手伝おうと思ったのだ。


「ミズ・カンナも水を?」


キッチンへ入るなり、食洗器に食器を入れているダニエルに聞かれる。


「お手伝いしようかと」

「ここは大丈夫ですよ。早くレンさまのところへ行ってください。あとでとばっちりを受けたくないので」

「でも……」


プールサイドに設定されたテーブルが栞南から見え、まだ片付け終わっていない。


「いえいえ、ミズ・カンナは私たちではなく、レンさまをお気遣いください」


そこまで言われては手伝うこともできなく、栞南はぶらぶらと主寝室へ向かった。2階のフロアに立つと、ソフィアたちの寝室の前で彼女の悲しそうな顔を思い出す。


(どうしてあんな顔をしたんだろう……)

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