俺様富豪と甘く危険な恋
「ねえ? まだ? なに見てるのよ? そんなにうらやましい?」


ジェシカは箱から華奢な腕時計を取り出し、左手首にはめようとしながら優越感にに満ちた笑みを浮かべる。

栞南は小さくため息を吐いてビールを取りにキッチンへ引き返そうしたとき、テーブルに缶ビールが置かれた。

ダニエルだった。


「どうぞ、ミズ・ジェシカ」

「ありがとう。ダニエル」


ジェシカにお礼を言われたダニエルはキッチンへ戻っていく。ジェシカは身を乗り出して缶ビールを持った。栞南もその場を去ろうとした。


「ね、カンナ。プルトップ開けてくれない? 爪が割れそうなの」


本来優しい性格の栞南は立ち止まり戻ると、缶ビールを受け取りプルトップに指をかけた。


「ミズ・カンナ!」


ダニエルの焦った声が聞こえたが、その声はすでに遅かった。

ジェシカは大げさともとれる悲鳴を上げた。


「キャ――ッ!!」

「ああっ!」


プルトップを開けた瞬間、ビールが吹き出しジェシカにかかったのだ。もちろん栞南にもかかったが。

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