俺様富豪と甘く危険な恋
「レン、あなたが本当にうらやましいわ」


ソフィアは部屋の中へ消える栞南の後姿を優しい瞳で追っている蓮に言った。


「今の俺は信じられないくらい幸せだ。お前にも幸せになってほしい」

「あら、傷心中の私を前に、のろけるわね?」


ふふっと笑ってグラスを口に運ぶソフィア。


「まあな。お前が意気消沈していようが、のろけられずにはいられない。悪いな」

「悪いなんて少しも思っていないくせに。今日ね? カンナが私を抱きしめてくれたの。感情が芽生えちゃったかも」

「はぁ? おまえっ!」


白ワインを飲んでいた蓮はグラスが割れそうな勢いでテーブルに置いた。


「可愛いし、欲はないし、本当にいい子だから」

「あー! お前、今日はホテル取って明日の朝、さっさと香港へ帰れよ」


冗談で言っているのだろうが、蓮はむきにならずにはいられなかった。それも栞南がソフィアを抱きしめたと聞いたからだ。


(この俺が女に嫉妬するとはな)


「嫌よ。やっぱり滞在伸ばそうかしら。カンナのそばに居たくなっちゃったわ」

「ふざけるな」


蓮は噛みつくように言うと、残り少ないワインの瓶を手にして、乱暴にカラになっているグラスに注ぐ。
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