俺様富豪と甘く危険な恋
(アラジンに出てくるジーニーのように……幸せの魔法をかけてほしい……夢のような幸せ……願いが叶うなら……)


「ジニー?」

「んー……アラジンの……ジーニーですよー」


ろれつが回らなくなって、意識が少しずつ薄れていく。

ジーニー……蓮の幼いころの記憶が甦る。


『蓮、大きくなったら好きな女の子の願いをなんでも叶えてあげなさいね? 女の子は夢のようなことに憧れるのよ。さしずめ、アラジンに出てくる魔法使いのジーニーかしら』


思いがけない栞南の言葉で、若かりし頃の母親の声が聞こえた気がした。


「お前は不思議と俺の気持ちを和らげる……」


あっという間に栞南は眠りに落ちていた。すやすやと眠る栞南を見つめる。


(こんな女は初めてだな。強がっていたかと思うとか弱い女……なんというか……天真爛漫が当てはまる女)


栞南の言うとおり、物心ついてから女に不自由したことがない蓮だ。

付き合った女性のタイプは様々だが、酔ったとはいえ栞南のように心をすんなりさらけ出す女は初めてだ。

もとはと言えば事件に巻き込んでしまったのは蓮で、栞南の命を最優先はあたりまえのこと。

栞南の命は絶対に守らなければと思っていた。

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